2016年2月10日水曜日

蓼科だより・429号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2016年1月9日(土)★
★テーマ:大豆の脱穀、長野大学で開放授業、農業センサスの読み方、
     過剰な衛生意識、明治世界遺産ビデオ
★蓼科便りは,重農主義を尊重し、地域自給圏構築をめざします!
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  小寒に入ったというのに、まだマイナス10℃に届いたことがありません。
今朝はほんのうっすらと白くなりましたが、すぐ融けてしまいました。

 今週中頃、大豆の脱穀とトウミ(唐箕:はね車の風でゴミを飛ばす)処理を
行いました。量は大したことはないのですが、黒豆、緑豆、糀いらずの3種類です。
 昨年末に旧家の蔵から頂戴した年季ものの足踏み脱穀機が活躍しました。
最初動きが鈍かったので、よく見ると、
回転部分の歯車に油と埃がこびりついて溝が半分埋まっていたので、
マイナスドライバーで削ぎ落としオイルを注したら調子よくなりました。

 やはり機械は必要です。効率がいい。ですが、段取り時間がかかるので、
少量のものは打ち棒で叩いてしまいました。昨年作った弓形にしなった棒が
役に立ち、豆は良く乾いていたのでよく落ちました。

 唐箕かけは、旧家に豆を袋で持込み、使わせてもらいましたが、
電動なので、あったいう間に終了しました。
旧家の主人はNPOの会員であり、とても親切な方で、要領を得ない私に全ての
作業を丁寧に教えてくれました。最後には、「自宅でやれば良いよ」と言って、
手製の屑豆選別道具も貸して下さいました。明日やってみようと思います。

 驚いたのは夜です。屑豆も入ったまま、全重量を計ったら約30kgでした。
豆を作った畑の面積と収量から1反歩当たりの収量を計算してみると、
何と、たったの125kgです。屑を除けば100kgを切るでしょう。ガックリです。
 長野県の営農指導目標は300kg/反です。農業雑誌に出てくる篤農家の収穫量は
400kg〜500kg/反です。素人が勉強もせずに初めて作ったようなものですから
当然なのでしょうが、穀物作りの難しさを痛感させられました。

ーーー長野大学で地産地消と自給圏構築の開放授業・講座

 長野大学が地域貢献度ランキングで全国1番になったことは以前に書きましたが、
次のように紹介されています。
「長野大学は、1966年に公設民営大学として開学し、上田市塩田の地に
50年地域と共に歩んで参りました。  本学は、「地域貢献」を大学憲章のひとつに
掲げ、今日も「地域に根ざした大学」を目標に様々な地域貢献活動を行っており、
その結果、日本経済新聞社産業地域研究所が行っている「大学の地域貢献度ランキング」
において、私立大学部門6年連続第1位にランクインしました。」

 因に、信州大学は総合で第1位です。長野県の大学はすばらしいね。

 今回の開放授業講座は、長野大学に事務所がある千曲川流域学会が主宰し、
古田環境ツーリズム学部学部長が仕切っていました。
この環境ツーリズム学部が大きく地域貢献に貢献している感じました。

 午前中は、「地産地消論」の開放授業。開放授業とは、学生対象の授業を
一般に公開しているということです。
 今回は、学生が30名、我々一般参加が30名ほどでした。当NPOの関係では14名の
参加でした。たまたま横浜に来ていたアメリカポートランド市で商社経営をしている
私の古い友人夫妻が参加して下さったのは嬉しかったです。

 「地産地消論」では、『スマート・テロワール-農村消滅論からの大転換-』の
著者松尾雅彦さんをお招きし、90分の講義をやって頂きました。
 何回かこのメルマガに書いていますが、「スマート・テロワール」の意味は、
川勝平太さんは「美しく強靭な農村自給圏」とカッコよく訳しています。

 地産地消という言葉は1980年代初頭に農水省が農工両立論と一緒に提唱した
ものだそうですが、諸事情の中でうまくいってません。私は地産地消論(実践)が
行き詰まっていると感じていますし、松尾さんも壁にぶつかっている、と表現しましたし、
古田さんも同様なことを言ってました。

 松尾さんは、「スマート・テロワール」の考え方はその壁をぶち破るものだと仰るし、
この考え方を聞いた大部分の方がこれに賛同するだろうと思っています。
 このまま行ったら、本当に地方は消滅する、という危機感は共有されていると思います。
どうしたらその危機から逃れることができるのか、日本中で議論されていますが、
処方箋がないのが実態ではないでしょうか。

 私はこの考えをコロンブスの卵だと思うし、静かな革命だと思っています。
講義の内容をメルマガの片隅に書けるものではありませんが、敢えて要点を
纏めれば次のようになると思います。

・このまま行ったら、畜産は壊滅し、農業も立ち行かなくなる。
・日本人の生命線を外国に握られてしまう。
・重農主義を尊重しなければならない。
・生産、加工、流通、消費が循環する一定の自給圏を構成しなければならない。
・活用されていない農地と森林を有効活用する。
・他地域から買っている物で、自分で生産できるものは置換える。

 午後は、「松尾さんを囲む会〜東信で何ができるのか」というテーマで
質疑応答形式で90分行われました。
 やはり、TPPと日本農業のこと、アメリカの農業政策とEUの話が多くでました。
日本はアメリカの農業政策に押しまくられ、EUは地域認証制度とフローフードで
アメリカを撃退したとなるようです。

 最後に今日の目的。時間を頂き、我々NPOがやろうとしていることを説明し、
脱公務員の若者が農業で成功している実例も話しながら、次のように訴えました。
「田舎の閉塞感の壁をぶち破る為に、自給圏構想を掲げて立ち上がりましょう。
仮称ですが、「東信自給圏構築協会」を皆で立ち上げましょう。」と。

 ドジのために、反応を確かめずに話を止めてしまいましたが、
最後に松尾さんに「第一歩を踏み出しなさい!」檄を頂き、
それを受けて、古田学部長が閉会の言葉で「一歩を踏み出します」と
締めて下さり、うまく行ったのかな、と希望的受け止めをしています。

 これを読んで頂いている皆さんもご協力とご支援をお願い申し上げます。

ーーー「2015年センサスの『農業経営者』的読み方」

 統計は読み方により、前提条件により全く違った解釈になります。
一つの事例を紹介します。これは表題の記事の冒頭にあるものです。
これを読むと、本音を語れないセンサスを纏めている農水省の官僚が
哀れに思えてきます。

<『農業経営者』編集部です。・・・
・・・昨年11月末に農林水産省が5年ぶりに行なった『2015年農林業センサス』の
結果の概要を公表しました。この結果をどう捉えて、時代を読むのか。
特集では農水省のコメントと合わせて、編集長による『農業経営者』的読み方を
項目ごとに載せました。

図1 農林業経営体数(全国)
農林業経営体数(15年2月1日現在)は140万2千経営体で、5年前に比べて
18.8%減少した。このうち、農業経営体数は137万5千経営体、林業経営体数は
8万7千経営体となり、5年前に比べてそれぞれ18.1%、38.1%減少した。

『農業経営者』的読み方
農業経営体数の減少率は5年間で18.1%(30万4千戸)、さらに10年前の
32.6%(63万4千戸)でほぼ同じ減少率である。この農業経営体数の減少を
どのように見るべきなのか。さらに、後述の農家数、農業就業人口の減少を
含めてその現象を嘆くのが農業界一般の読み方と思われるが、本当に
そうなのであろうか。むしろ、農家数あるいは擬似農家が多すぎるところに
日本農業の根本問題があると言うべきなのである。・・・

・・・図11 年齢別農業就業人口の
構成(全国)
販売農家の農業就業人口は209万人で、5年前に比べて51万6千人
(19.8%)減少した。この結果、農業就業人口の平均年齢は66.3歳となり、
65歳以上が占める割合は63.5%となった。

『農業経営者』的読み方
「農業就業人口のうち、65歳以上が占める割合が63.5%に増えた」という毎度
おなじみの農業就業人口の「高齢化」という農業界のボヤキを示す統計である。
これに関してはかねて本誌が主張している以下のことを考えられたい。

そもそも、普通の勤労者であれば60歳、あるいは65歳になると定年で「無職」
となる。一方、「農家」とは職業概念ではなく、「世帯」概念である。定年退職で
会社を辞めた人が農業就業人口にカウントされるから勤労者より農業就業者の
年齢が高くなるのは当然なのであり、この高齢化の傾向は農業就業者の高齢化
を示しているのではなく、日本人の高齢化を示しているだけなのだ。 ・・・>

(私)ことほど作用に、全ての項目に似たような現象があります。
皆さん、これを読んでどう思われますか?

「2015年センサスの『農業経営者』的読み方」
http://agri-biz.jp/item/detail/23476

ーーー過剰な衛生意識についてコメントを頂きました

  Aさんからです。
< 環境問題について、
「特に女性の過剰な衛生意識と日本人の潔癖性が影響していると思います」と
ご指摘がありましたが、全くそのとおりだと思います。
ただ毎日そのような感覚にさせるCMがテレビで流されており、
そのようにさせられているのだといった面もあるように思います。
何が本当に大事なのかをよく考えなければなりません。 >

ーーー明治日本の産業革命遺産のビデオ

 探せば何でもありますね。ITのパワーに本当に驚きます。
 このビデオは内閣府(Cabinet Secretariat,Government of Japan)から
ユネスコ世界遺産へ贈呈されたもののようです。明治に造られた工場、
設備等が今でも動いているものがあり、これもビックリです。
日本のインプロビゼーション能力はスゴイですね。

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業
https://www.youtube.com/watch?v=c0CpPLnz4Mk#t=1391

★フッターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー★

農村消滅論から大転換
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/01/blog-post_17.html

「スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換」を読んで
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/07/blog-post_9.html

農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/

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